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小論文ノートを作る54   [小論対策]

「ダメな女」  村上 龍/光文社

(p24.)
 そもそもダメな女というのは、このダメな日本の価値観を遵守(じゅんしゅ)している女である。結婚までは貞操を守るとかそういう価値観ではなくて、いつも周囲の目を気にして、自分の個人的な欲望とか希望に気づこうとしない女のことだ。

(p.35)
 今、出版とインターネットと次の映画で、重要な仕事をいくつか抱えている。わたしはスタッフはみんな女性か若い男にしたいと思う。特に大会社のサラリーマンのおじさんは、全滅です。わくわくするような仕事ができていないので、モチベーションが「出世」だけになっている。頭にあるのは、その会社で偉くなることだけ。今さら肩書きがそんなに欲しいか、と思うけど、どうやら喉から手が出るほど欲しいらしい。他に生き甲斐がないので、出世だけになるわけですね。

(p.36)
 出世は「成果」ではなく、「失敗をしない」という基準で決められるから、サラリーマンのおじさんは何かトラブルが発生すると、責任を他人に押しつけて(部下に押しつけることが多い)逃げようとする。

(p.53)
 世界を相手に国際競争をするのに日本のくだらない「構造」は必要ない。そこから脱出する方法を探るべきだ。

(p.81)
 共同体が信頼できなくなった。これから先も信頼が回復することはあり得ない。これから大切になるのは、信頼できる「個人」だ。何となく集まって楽しく騒げる「仲間」ではなく、数は少なくても「信頼できる個人的な友人」が大事になるだろう。

(p.89)
 ダメな男というのは、リスクを負い、コストを払いながら何事かを成し遂げようとしない男のことだ。失敗を他人のせいにできない地点に立つ勇気がない男のことです。

(p89.)
 これまで、日本人は、力のあるものに頼り、依存し、甘えるのはいいことだと教えられてきた。もはやそれは悪いことになった。そういう姿勢では生きていけなくなっていて、その傾向は益々強くなっていくだろう。

(p.91)
 乳幼児にとって、親というのはほとんど世界の全てだ。親からひどい虐待を受けるということは、世界から拒絶されると言うことになる。困ったことに、乳幼児は親を嫌いになったり、憎んだりすることができない。親から殴られるとき、そういう子どもたちは自分が悪いのだと思いこんでしまうのだ。そして、自分を嫌悪するようになる。

 そういった子どもたちが溌剌(はつらつ)と遊べるわけがない。不信に充ちた人間関係と嫌悪すべき自分だけが、そういう子どもにとっての、現実なのである。

 そういう子どもでも、さまざまな社会的な学習を経て、大人になる。そういう大人になった女は、怖い。ダメな女ではなく、怖い女になる。

(p.115)
 変化に対応できない人々は、他人の不幸を生き甲斐にする。
 世も末だ、と嘆いても意味がない。新しい不快な現象の大半は、これまで近代化の陰に隠れていたものが見えるようになっただけなのだ。昔は良かった、と過去を懐かしがるのも間違っている。現代の日本に噴き出している問題は、ずっと昔から存在していたことが露わになっただけだからだ。

(p.119)
 自分たちが社会を変えておいて、現在を嘆くのはフェアではない。彼らが今を嘆くたびに、子どもたちはわけが分からなくなる。じゃあ、どうしてそんな世の中にしたんだ、という風に子どもは思うはずだが、子どもには発言力がない。

 だが今の老人たちはダメなわけではない。厳然とした力を持っている。パワーや金を貯め込んでいるのだ。やみくもに彼らに抵抗しても、子どもや若者は負ける。価値観の変化がない時代が長く続いたために、子どもや若者は老人に対し情報でも優位に立てない。

 現代を嘆く老人を信用してはいけない。彼らは害毒を垂れ流している。

(p.191)
 やりたいことが見つからない、という状態は危険だ。他にすることがないからという、ただそれだけの理由でリスクが高い行為に走る人は少ない。もし熱中できるような何かを持っていたら、あの十七歳の少年はバスジャックをしなかったかも知れないし、あの文京区の主婦は殺人を犯さなかったかも知れない。

 やりたいことを見つけるのは簡単ではないし、やりたいことを探し、それを仕事にするための基礎を学ぶのが学校という場所ではないかと思うのだが、今の日本の学校にそういう雰囲気は皆無だ。

 消費が回復しないのは、将来が不安なのではなく、何にお金を使えばいいのか分からないからではないかと私は思う。お金を有効に使うのは非常に難しい。非常に多くの日本人が、ブランド品に象徴されるものに、お金を使い切ってしまおうとしているように見える。
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